大学生活 / ノルディック班4年 市川 真衣

 私の大学生活はスキー部で埋め尽くされていました。高校3年生の時、一般合宿に参加したのがこの部活に入るきっかけでした。

 スキー部は週に4回の練習、冬は1ヶ月間の合宿生活、高校生までに経験したことのない慌ただしい日々でした。慣れるまでにも時間がかかりました。

 練習ではいつも体力を限界まで使いきり、その後の授業では寝てしまうことも多く、それだけ必至に全力で部活に取り組んでいました。そんな生活の中で授業の合間に部室に行けば部員の誰かしらがいる、そんな暖かい空間の部活がすごく好きでした。家族のような、リラックスできる自分の居場所でした。

 部活を続けていくと辛い別れも多く、納得の出来ないことも沢山ありました。なんとか乗り越えて4年間続けられました。

 四年生の時は組織を運営する難しさと運動部の厳しさを身に染みて感じました。先輩がいない環境で自分の選択がこの部活を大きく左右するという責任を感じ、悩むことばかりでした。そんな中でも励ましてくれるOBOGの方や明るく接してくれる後輩にいつも助けられました。1人で悩まずに人に相談することの大切さも実感しました。

 人生を通して尊敬できる先輩、応援したいと思える後輩を持てたこと、また部活で培った経験がこの部活に入ってよかったと思えることです。

 この部活に入って、褒められることも沢山ありましたが、怒られることの方が多かったです。叱ってくれる人がいるということはより自分が良くなる可能性があるということで、恵まれている環境であったということを実感します。

 この部活で得た経験は人生の宝だと思います。
体力的にも精神的にも辛かったこと、それを乗り越えて結果を出せた時の達成感、仲間と切磋琢磨して頑張ったこと。これからの人生でこれを超える経験は無いのではないかと思います。初心を忘れずにこれからの長い社会人生活頑張っていきたいと思います。

スキー部を振り返って / ノルディック班4年 平岡 紗理

 新型コロナウイルスの感染拡大のため卒業式が中止となり、「卒業」という実感がないまま新社会人を迎えようとしています。

 スキー部を振り返ると、思い通りにいかないこともたくさんありました。しかしこうして最後まで続けてこられたのは、特に同期の支えがあったからです。

 私は、2年生に転部してきました。入部する前は、走ることが大嫌いで練習メニューをこなすことができるのか本当に不安でした。そのような私を変えたのは、同期です。自主練習に付き合ってくれ、毎日前向きな言葉をかけてくれ、いつの間にか走ることが大好きになっていました。

 4年生では前十字靭帯損傷をし、前期の活動は治療に専念するために休部となりました。ラストシーズンに意気込んでいた最初の陸上トレーニングでの怪我ということもあり、どん底に落とされた気分でした。

 それでも、スキー部に復帰できたのは特に唯一の同期の支えがあったからです。休部中も家の近くまで来て話を聞いてくれ、気晴らしにドライブに連れて行ってくれ、「また頑張ろう」といつも前向きな言葉をかけてくれました。私が休部中は4年生1人で後輩を引っ張り、主将として悩みも多いはずなのに、いつも気に掛けてくれました。

 転部という思い切った行動をし、輔仁会スキー部に入って、最高な同期と部活動ができて幸せでした。そしてOBOGの皆さま、後輩、様々な方々の支えがありこうして引退を迎えられました。お世話になった皆さま、ありがとうございました。

インカレ / ノルディック班4年 市川 真衣

 人生最後のインカレ。その前に自分ができることは何か。

 クロスカントリースキーという競技を始めて1年目は右も左も分からずに、試合では決められた距離を休まずに滑りきることで精一杯だった。その頃はこの過酷な競技でライバルと競い合い、1つでも上の順位に行かなければという気持ちはまだなかった。

 2年目から後輩もでき、負けてはいられないという気持ちと、速く先輩に追いつかなければという気持ちが生まれ、ようやく競争心が芽生えてきた。この年のインカレのクラシカルという競技では結果で同期に負けてしまい、人に負けることの悔しさを味わった。

 3年目はひたすら先輩の背中を追って練習をした。先輩のいる最後の冬であったからだ。自分なりの滑り方を研究した結果、先輩に勝てた時はとても嬉しかった。しかし来年からは追われる立場、この座を守らなければならない。

 4年目の今、自分ができる最大の力を出し、1つでも上の順位になりたい。

 結果にこだわる。これは運動部の人間として当たり前のこと。それ以外に自分には何が出来るか。今まで自分が身につけてきたことを後輩に教えること、これもわたしの使命だ。教えているうちに自分が学ぶことも多い。そしてこのクロスカントリースキーがただ辛いだけでなく、やればやるほど楽しい競技であることを伝えていきたい。

 インカレでは個人競技で10位以内、入賞を目指し、リレーでは1位を目指し、最後まで駆け抜けていきたい。後悔のない最後を迎えるために。

2020/21シーズン / 一般・アルペン班2年 海部 圭伸

 昨年、SLが終わった時点で2部昇格が無理だと判断した。
勝負は2020/21シーズンにし、今シーズンは勝負のための準備に使うことを決めた。今シーズンのインカレもポイントもすべては2020/21シーズンの準備に過ぎない。誤解を恐れずに言うならば今シーズンのインカレは他のFIS・B級と同じ扱いであり特別に力を入れる大会ではない。

 個人として、昨シーズンのインカレ後、技術・フィジカル共にまだまだ勝負できる立場にいないことを痛感し今シーズンで勝負できる・させてもらえるレベルまで上げることを目標とした。

 しかし、シーズンが終わる前につまらないことで靭帯を損傷し復帰に3か月かかり当初の計画が初期の初期で狂った。シーズンが始まっても雪がなく大会のキャンセルが相次ぎ計画通りにはいかなかった。大会不足の中で意図した結果を出すことは難しいが結果を出している選手は準備が他の選手とは異なるレベルで行われている。本来ならそのレベルに到達しなければいけなかった。

 ここから来シーズンのインカレに向けて何ができるだろうか。

まずはSAJ・FISポイントを改善してスタート順をあげていくこと、
少ないチャンスをものにできること、
技術・フィジカルのレベルを上げていくこと、

 これらが勝負できるレベルにまで達成すれば来シーズンのインカレで望む結果となるだろう。

そのためには、今シーズンできていなかったフィジカルとイメージの作り方を変える必要がある。これはすでに取り込み始めていることであり完成度を高めていく作業が重要になってくる。

3年目の冬を迎えて思うこと / ノルディック班3年 足立 昇平

 クロスカントリースキーを始めて3年が経とうとしている。
振り返ればとてもあっという間に感じる。ただひたすらにがむしゃらに楽しんでいた1年目。自信を持って挑むも理想と現実のギャップに苦しんだ2年目。さて3年目、振り返ってどう思うのだろうか。どう振り返りたいのか。良くも悪くもこれからの行いで決まっていく。

 よく思っていることはクロスカントリースキーというのは不思議な競技だということだ。

 登っては下り、また登って下る。やっている時は辛いし、氷点下の中でもインナーには大粒の汗を感じる。ビデオを撮り自分の姿を見て、落ち込み上手くいかず苦しむ。わずかな成長に喜ぶも、すぐに大きな壁にぶつかる。そんな合宿の日々だ。

 でも一度離れると、なぜかまたやりたいなと思う自分がいる。そんな中毒性がある競技だと思う。本当に不思議な感覚だ。それは理想と現実の差を埋めていきたいという気持ちに駆られているのかもしれない。あんな風に滑りたい、速くなりたいと。

 もう大学生アスリートとしては半分以上が過ぎ、残されたのは約1年半のシーズンだ。このように文字として書き起こすと本当に焦燥感が湧いてくるし、受け入れたくない現実だ。

 来年度のシーズンを悔いなく終わるためには、今シーズンをどのように過ごしていくか、これからの毎日にどんな選択を積み重ねていくのか。これが大きな鍵になると思う。

 わずか4年間という大学生アスリートとして、最終的に自分の中で納得して、社会に出ていきたい。今は切実にそう思う。

冬は短し滑れよ乙女 / 一般・アルペン班3年 間瀬 麻日

 リフトの上で自分のヘルメットやワンピースについた雪を払い落とす。手袋の中や首元に入り込んだ雪が体温で溶けて身体を冷やす。

 2020年記念すべき初転倒。不思議と嫌な気持ちはしなかった。

 一進一退、七転び八起き、三歩進んで二歩下がる。私にとってアルペンという競技はそんな言葉がぴったりだ。目に見えて良い日もあれば、次の日には調子が悪いなんてことはよくあること。文字通り転倒しては立ち上がりを繰り返す。特に競技を始めた1年生の頃は色んな意味で滑っては転けてばかりで挫折を味わった。

 3年生になるまで私はアルペンの女子の先輩も同期も後輩もいなかった。アルペンは全くの初心者ではなかったが、部活という形でスキーに関わったのははじめてだった私にとって頼れる直属の女子の先輩がいないことは本当に辛かったのだ。
 冬の合宿では自分と他大の女子選手や同期の男の子たちを比べて経験の差を目の当たりにし、苦しい時を過ごした。自分だけが経験者ではないことで勝手に疎外感を感じ、みんなより遅れをとっている、同じ場所に立てていないと思っていた。頬を濡らした夜も一度や二度ではない。切磋琢磨する相手がいないのは本当に辛いことなのだと気づいた。ずっと合わせ鏡の中の自分と戦っている気分だった。

 しかし考えてみれば敵と戦っている時間などアルペンで考えたら1時間もないかもしれない。自分自身と戦うこと、自分と真摯に向き合うことが1番大切なのだ。
 2度の冬を越しそれにようやく気づけた時、私は先輩になっていて振り向けば後輩ができていた。しかも2人ともアルペンは未経験だ。彼女たちも成長に伸び悩んだり周りと自分を比べて苦しい思いをしたり、この競技の難しさに打ちひしがれ、"転倒"してしまうこともあるだろう。そんな時立ち上がるのに手を貸せるような先輩に私はなりたいと思う。

 限られたこの季節で雪の中、座り込んでいる時間はない。私たちは転んだとしても立ち上がり、そして前を向いて滑らなければならない。

 さぁ、次の1本もがんばろう。

歓喜の輪 / 一般・アルペン班3年 川野 浩太郎

 今年度、トレーニングチーフという立場から雪煙や活動報告にて何回か自分の思いの丈を書いてきたが今回は、トレーニングチーフとしてではなく一人の部員として冬を迎えた今思うことを書いてみたいと思う。

 今年度の陸トレも含めた活動、全ての原動力は、去年のインカレで味わった悔しさと苦い涙である。またそれに加え来年、最後にもう一度だけ2部の舞台で戦ってみたいという気持ちがよりインカレへの思いに拍車をかける。
 今年度、自分達3年生が男子において最高学年であり、戦力としても部を引っ張る者としても、担う責任が重い立場である。もちろん男子最高学年として迎えるインカレに対して常に不安は持っているがその一方で、自分らがチームで勝ち得た歓喜の輪の中心にいる姿を想像すると高まるものがあり、その想像を現実のものにしたいと切に思う。

 チームとして勝利し、歓喜するために必要なことは、他の人への理解であると自分は考えている。26名の部員それぞれが考えをもっており、その考えの中には他の部員と相容れないものがあって然るべきだが、その際、忘れてはいけないことはその26名全員が部活をより良いものとするために考え、行動しているという点である。
 そのことを各部員が改めて認識し、インカレでの勝利のイメージを部活全体で共有することが出来れば、残り少ないインカレまでの時間で戦う準備は出来るはずである。自分自身残り2か月、雪上で何が出来るのかをよく頭で考え、行動していきたい。

 最後になるが、4月に1年生が10名入部後、部員それぞれ様々な状況を抱えながらも、誰一人退部することなく冬を迎え、インカレに向かっていることを嬉しく思う。

冬に向けて / ノルディック班4年 平岡 紗理

 人生最後のタイムレースも終わり、いよいよ北海道合宿が近づいている。

今年度、女子は「一部昇格」を目標に励んできた。ノルディック班女子は、現在人数にも恵まれてインカレは枠争いが行われる。リレー含め全ての競技に出場し、必ずポイントを沢山とって部に貢献する。

 今年度初めの陸上トレーニングで、私は前十字靭帯を損傷してしまった。前十字靭帯損傷は、手術しなければ完治することはなく、もし手術をしても復帰が引退に間に合わないという大怪我だった。私は、手術をせずに今シーズンも戦うという決断をした。その決断をしたからには、インカレでは怪我だったことを周りに忘れさせる滑りを絶対にする。

 12月合宿は私と後埜上二人で最初に入る。去年も12月合宿直前に怪我をしてしまい、合宿に入ることができなかった。その悔しさを糧に、一日一日を大切にトレーニングに励みたい。

 今年は、雪上トレーニング以外にも妥協はしない。
毎日の食事管理、コンディショントレーニング、動画で上手な選手の滑りを研究するなど、合宿中は常にスキーのことを考えて過ごしたい。
 また、「一部昇格」という目標は、私たち上級生だけでは達成できない。陸上トレーニングでは、1年生もメニューから落ちることはあまりなかった。最後のタイムレースでは、私たち上級生を脅かす存在にまで成長していた。そのような1年生を雪上で育てるのもとても楽しみだ。

雪層 / 一般・アルペン班3年 山本 章太

 つらい陸上トレーニングで追い込まれた時、皆は何を思っているのだろうか。

 自分はいつも、やぶれかぶれにコースを滑っている時の事を思い出す。ぼこぼこに掘れた急斜面に、次の旗門が真横に立っていると錯覚するようなセットが立ち、それが何ターンも続いている絶望感だ。ようやく終わりが見えた時には脚も心も限界だが、気が抜けた瞬間にコースアウトするのが本能的に分かる。滑っていて全く気持ちよくないし、タイムが悪いのも分かりきっている。しかし途中で辞めるわけにはいかず、攻め続けなければならない。そして、リザルトには悔いが残り、撮ってもらった動画を見ては自分に失望する。陸上トレーニング最中にその光景が目に浮かぶのだ。

 また、そんなコースを滑った後には必ず辛かった陸上トレーニングについて考える。もっと別のアプローチをしていれば結果が変わったのではないかと、悩みこむ。

 雪上で陸上トレーニングを考えて、陸上トレーニング中に雪景色を思い出すことを繰り返しているのだ。あと数%筋力があれば、もっと攻められたのではないだろうか。このウェイトを上げられれば、このペースで走り続けられれば、1つのターンが1000分の1秒速くなるのではだろうか。そう考えてしまうのだ。

 この試行錯誤が自分を成長させているのだと思う。一回の繰り返しでは何も変わらない。それはまるで、まだ暖かいうちに降る初雪がすぐに溶けて無くなってしまうかの様だ。しかし、薄く積もった雪はやがて根雪となり、折り重なって層をなす。その上に立った時、自分の背丈を超えたところから見える景色は、何物にも変えがたいものとなる。

苦悶→開戦 / ノルディック班3年 吉田 圭汰

 気象というものはどうもよく分からない。学習院は紅く染まり、耳元で風が冷たく鳴る。今年は秋を置いて冬が突然来てしまった。風が掠る頬が痛い。歩く時は無意識に猫背になってしまう。それでも、スキー部の私は息が白くなるのが嬉しくてたまらない。外気温と反比例して闘争心が高まるばかりだ。

 オフシーズンはチーム全体ではまずまずの結果であった。最後のタイムレースでは自分を含む多くのプレイヤーがベストを更新した。とりわけ今年は一年生の躍進に注目が集まった。女子では石毛が歴代ランキングに名を連ね、男子では高橋が19分台に食い込みアルペン班三年生を圧倒した。期待以上の結果を出してくれた彼らを心から尊敬する。

 私はというと、2019年はスタートから辛かった。1月に親友を亡くし、夏には母が大病をして精神的に強靭な自分でもすぐに立ち直れないことが多々あった。そのせいではないが、後期に初めてスランプも経験した。足が動かなければ、記録も出ない。こんなはずじゃない。それでも毅然と副将でいなくてはならない。口にできない、静かな焦りと苛立ちが常にあった。

 しかし、ここからが理屈屋の本領発揮である。まず、そもそもスランプとは何なのかを冷静に考えた。すると、私が感じていた焦燥感などの原因は、ノル班同期である足立とのリザルト格差やローラースキーのフォームの違和感、昨年ほどリザルトの変化率が大きくないことであった。なるほど、どうやらスランプというのは理想と現実のギャップであり、成長率が逓減する時に起こるものらしい。

 これに気づいてからの巻き返しは早かった。ならば、と無闇に理想的な目標値を掲げるより、現在のパフォーマンスをできる限り上げることを心掛けた。何が足らず、それに対して何をするのか。そして気づけば最後のタイムレースは自己ベスト且つ全体2位で終えることができた。

 一年目の雪辱はまだ果たせていない。自分が三部に落とした学習院を二部に引き上げ、もう一度仲間と二部で戦いたい。準備はできた。勝負はここからが本番だ。