雪層 / 一般・アルペン班3年 山本 章太

 つらい陸上トレーニングで追い込まれた時、皆は何を思っているのだろうか。

 自分はいつも、やぶれかぶれにコースを滑っている時の事を思い出す。ぼこぼこに掘れた急斜面に、次の旗門が真横に立っていると錯覚するようなセットが立ち、それが何ターンも続いている絶望感だ。ようやく終わりが見えた時には脚も心も限界だが、気が抜けた瞬間にコースアウトするのが本能的に分かる。滑っていて全く気持ちよくないし、タイムが悪いのも分かりきっている。しかし途中で辞めるわけにはいかず、攻め続けなければならない。そして、リザルトには悔いが残り、撮ってもらった動画を見ては自分に失望する。陸上トレーニング最中にその光景が目に浮かぶのだ。

 また、そんなコースを滑った後には必ず辛かった陸上トレーニングについて考える。もっと別のアプローチをしていれば結果が変わったのではないかと、悩みこむ。

 雪上で陸上トレーニングを考えて、陸上トレーニング中に雪景色を思い出すことを繰り返しているのだ。あと数%筋力があれば、もっと攻められたのではないだろうか。このウェイトを上げられれば、このペースで走り続けられれば、1つのターンが1000分の1秒速くなるのではだろうか。そう考えてしまうのだ。

 この試行錯誤が自分を成長させているのだと思う。一回の繰り返しでは何も変わらない。それはまるで、まだ暖かいうちに降る初雪がすぐに溶けて無くなってしまうかの様だ。しかし、薄く積もった雪はやがて根雪となり、折り重なって層をなす。その上に立った時、自分の背丈を超えたところから見える景色は、何物にも変えがたいものとなる。

苦悶→開戦 / ノルディック班3年 吉田 圭汰

 気象というものはどうもよく分からない。学習院は紅く染まり、耳元で風が冷たく鳴る。今年は秋を置いて冬が突然来てしまった。風が掠る頬が痛い。歩く時は無意識に猫背になってしまう。それでも、スキー部の私は息が白くなるのが嬉しくてたまらない。外気温と反比例して闘争心が高まるばかりだ。

 オフシーズンはチーム全体ではまずまずの結果であった。最後のタイムレースでは自分を含む多くのプレイヤーがベストを更新した。とりわけ今年は一年生の躍進に注目が集まった。女子では石毛が歴代ランキングに名を連ね、男子では高橋が19分台に食い込みアルペン班三年生を圧倒した。期待以上の結果を出してくれた彼らを心から尊敬する。

 私はというと、2019年はスタートから辛かった。1月に親友を亡くし、夏には母が大病をして精神的に強靭な自分でもすぐに立ち直れないことが多々あった。そのせいではないが、後期に初めてスランプも経験した。足が動かなければ、記録も出ない。こんなはずじゃない。それでも毅然と副将でいなくてはならない。口にできない、静かな焦りと苛立ちが常にあった。

 しかし、ここからが理屈屋の本領発揮である。まず、そもそもスランプとは何なのかを冷静に考えた。すると、私が感じていた焦燥感などの原因は、ノル班同期である足立とのリザルト格差やローラースキーのフォームの違和感、昨年ほどリザルトの変化率が大きくないことであった。なるほど、どうやらスランプというのは理想と現実のギャップであり、成長率が逓減する時に起こるものらしい。

 これに気づいてからの巻き返しは早かった。ならば、と無闇に理想的な目標値を掲げるより、現在のパフォーマンスをできる限り上げることを心掛けた。何が足らず、それに対して何をするのか。そして気づけば最後のタイムレースは自己ベスト且つ全体2位で終えることができた。

 一年目の雪辱はまだ果たせていない。自分が三部に落とした学習院を二部に引き上げ、もう一度仲間と二部で戦いたい。準備はできた。勝負はここからが本番だ。

「平成31年度 現役部員壮行会」のご案内

主務 原友梨奈

拝啓

 雪桜会会員各位におかれてはご清栄の事とお慶び申し上げます。
さて今年度も下記のとおり「平成31年度 現役部員壮行会」を開催致します。皆様お誘い合わせの上、奮ってご参加下さい。

敬具

開催日時
2019年11月23日(土)15:30~16:45(予定)

場所
学習院大学 富士見会館4階 403・404号室

お問い合わせ
本ホームページのお問合せページからご連絡下さい

支援企画のお知らせ

 平素より、スキー部の諸活動にご協力とご支援を頂き心よりお礼申し上げます。

 現役への援助を目的といたしております支援企画でございますが、昨年の支援金は、クロスカントリーツーピース代やチームウェア代、施設使用料等に当てさせて頂くなど、現役の活動費として使用させて頂いております。多数のご協力ありがとうございました。

 本年度の支援企画の商品は現役デザインのオリジナル学習院瓦煎餅(1セット8枚入り)です。出費多端な折、誠に恐縮ではございますが、何卒ご理解とご協力を賜り、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

 先日、支援企画のご案内と注文用紙の往復ハガキをお送り致しました。お手元に届いていらっしゃらない方や、本日以降ご注文を頂ける方がいらっしゃいましたら本ホームページのお問い合わせページより

・ご注文セット数
・お名前
・卒業年度
・お届け先
・近況(よろしければお書きください)

 をご連絡頂ければ幸いです。その他現役部員にご連絡を頂く形でも構いません。

 ご協力のほど、よろしくお願い致します。

学習院大学輔仁会スキー部
マネージャー2年髙畑杏奈

第4回タイムレースのお知らせ

11月23日(土)

女子出走13:45 男子出走14:15

場所 百周年記念会館付近

 今年度最後のタイムレースとなります。

 全部員が1年間の練習の成果を発揮し、自己ベストを更新するために日々励んでおります。OB・OGの皆様からのご声援が選手の自信とベストタイム更新につながります。お時間のよろしい方は是非応援にいらしていただけますと大変嬉しいです。

 部員一同、心よりお待ちしております。

トレチ / ノルディック班3年 足立 昇平

 昨年の後期から段々と来年の部活のことを考えるようになったと思う。
今の部活の運営の中心にいる方々がいなくなり、来年は誰がどのポジションに就くのだろうかと想像したのを覚えている。その時に私はノルディック班のトレーニングチーフになりたいと思うようになった。来年は自分自身で部のメニューを考え、班を引っ張っていき、このスキー部を強くしたいと、強くできるという思いが強くなった。また憧れる先輩方もこの役職に就いていたのもあるだろう。

 2月下旬の幹部交代式、自分の名前が呼ばれた。
嬉しさと共に、何か責任という怖さを抱いた。想像以上にこの役職に就くことは重く感じたのだろう。そんな中、予算やメニューを考えたりと仕事をしていたが、なぜか本当にトレーニングチーフになったのだろうか、果たして自分に適しているのかと思うことも多々あった。

 4月、新体制の中、新入生を迎え、部活の練習が始まった。私の掛け声で練習が始まり、終わる。受け身の立場から主導的立場に変わった瞬間であった。この時に初めてトレチになった気がした。嬉しさと同時に運営や指導の難しさを実感していく。なかなか思った通りにはならないものだが、突き詰めていく必要がある。

 正直、スキー部を強くできるかどうかは、トレチにかかっていると言っても過言ではないと思う。新しいメニューや既存のメニューにアレンジを加えたり、夏合宿も新しい地で1からメニューを作り上げていく。この役職では当たり前のことであるが、自分の不甲斐なさと達成感をよく感じるものだ。この役職ではまた常に皆の手本になり、大きな背中を見せないといけない。年月が経っても色褪せない大きな背中でありたい。だが出来ているかは自分ではわからないし、他者が判断することだろう。

 もう後期も終盤に向かっている。あと残された時間、トレーニングチーフという役職を全うしていきたい。

覚悟 / 一般・アルペン班3年 川野 浩太郎

 トレチになり半年、どうすれば、チーム全体や一般・アルペン班、自分自身が強くなり、スキー選手として成長することが出来るのかを常に考え、試行錯誤している。また自分が経験してきたことや、知識、考え方などをどのように後輩たちに伝えていくかも重要である。      

 アルペンという個人競技をやっているなかで、ここまで自分以外の人のことを考えながら、活動しているのは、トレーニングチーフや部全体の幹部としてではなく、スキー部の一員として全てをこの部に捧げてきた結果である。またその考え方はチームで活動する、学習院大学輔仁会スキー部に所属する者にとってとても大切な考えであるとも思う。

 今年から立場が生まれ、今までに比べ頭を悩ませ、自分の言動を見つめ直す機会が多く生まれるようになった。今まで正しいと思っていたことが間違っていたこともあれば、自分の意見を押し通すことが必要なこともある。その全ての言動行動に責任という物が生まれるのが役職を与えられた者の使命であると考える。

 何度も言うが、アルペンというスポーツは個人競技である。しかし今年の冬、一般・アルペン班が結果を残せなかった場合、それは全て自分の責任である。その責任を負う覚悟がなければトレーニングチーフという役職に就くべきではない。また一般・アルペン班が活躍してもそれは、各班員が努力をした結果であり、トレチの成果とは別であるとも考える。

 つまりトレーニングチーフとは、自分も含めた班員が結果を出せるように環境を整え、サポートをすることが仕事であり、表立って評価される対象ではないということである。トレチとして作ってきた道が正しかったと証明するために、一人の選手として自分自身が結果を出すことが必要なことは言うまでもない。

 陸トレ期間が残り1か月となり、まもなく冬を迎えるが、トレチとしての真価が問われるのはここからである。

 今年こそは男子2部、女子1部昇格を果たし、全員で嬉し涙を流そう。