かけがえのない経験 / ノルディック班4年 山岸 由芽

 
 週に4、5回の練習、そして年2ヶ月超えの長期合宿。時間として考えると、大学生活の大半の時間をスキー部に捧げました。けれど終わってみて思うことは、それが間違いなく私の学生生活を支えてくれていたということです。

 内部進学をして大学に上がった時、体育会の部活動に所属することしか考えていませんでした。厳しい組織に身をおくことで、自分をある程度縛りたいと思ったからです。これは言い換えれば、全く自由な世界に自分を放り出す勇気が無かったからかもしれません。そして中でもスキー部を選んだ最大の理由は、親近感と主体性を強く感じたからでした。

 私は初等科時代に一般合宿に数回参加させていただいた経験があります。あの頃から、私の中で大学生といえば、あのスキー部のお姉さんお兄さんたち。楽しくて優しくて素敵な集団な印象がありましたし、新歓シーズン特有の各部会の良いところばかりしか伝えられない中で、ここは信頼できる組織だと思いました。
 言ってしまえば、なんとなくで入部を決めましたが、今4年間をやり遂げて、この組織で大学生活を過ごせてよかったと思えます。不屈の心で努力し続ければ成果が出ること、また難しく辛い局面では、その努力した自分や仲間を信じることで乗り越えられることを学びました。
 やはり週4日の朝練、規律正しい長期合宿、体力の限界を超えた厳しいメニュー、少ないチームメイトとの価値観の共有など、楽しいだけでは済まされないことも多くありました。しかし、そうした出来事一つ一つと向き合ったことで、人間として少し大きく、強くなれたように思います。

 この4年間での部活動以外の場から受けた感動や楽しかった経験・思い出は、これからの私の活力になると感じています。ですが、スキー部での経験は、これからの人生で壁にぶつかった時に、それを乗り越える最大の力になると感じています。4月からは社会人として激動の日々を迎えることになりますが、スキー部での経験を自信に、臆せず様々なことにチャレンジしていきます。

 私のかけがえのない4年間を支えてくれたスキー部、本当にありがとう。

競技開始5分前!! / ノルディック班4年 広瀬 右京

 
 丁寧に丁寧にチューンナップした板を合わせて左手で大切に持ち、右手にはポールを持つ。自分のビブナンバーと同じ番号を見つけると、板を履きスタートレーンに入る。「どれだけやれるか。」楽しみであり緊張の瞬間である。
 スタートは意外とさっぱりしていていつの間にか始まっているのがお決まりだ。号砲とともに140人が一斉にスタートする。いきなり待っているのは急な登り。坂に差し掛かるとき、それはそれは不安でいっぱいだった。しかし、次の瞬間には「いける」そんな気がした。グリップワックスも決まり、出だしは最高である。
 調子に乗った自分はその後のなんでもない下りで転ぶことを予想していなかった。急な登り。下り。登って、やや鋭角に曲がってからのいわゆる「休憩」ポイントで転んだのである。スピードを0にした。すでに心は折れかけている。しかし先は長い、そんなことは言っていられない。ヘアピンを慎重に曲がりきり、給食所で待つ同期には目もくれずひたすら滑った。

 応援の声が遠くなったころ、つらく長い坂がやってきた。視線を少し上げると無数のビブナンバーが目に入る。それもそうかと一つ一つ順位を上げるつもりで突き進んだ。すでに疲労感はあるが、案外しっかり踏めばグリップは効く。ワックスを外した選手もいたようだ。最後は腕の力を振り絞りなんとか登りきった。
 ここからは対照的に長い下りである。油断はできない。さっきの転倒が頭によぎると同時にウォーミングアップの時を思い出した。「左から2番目のレーンははじかれる」冷静だった。レーンを選ぶ余裕があった。下りの勢いを殺さぬまま緩い登りに入り前の選手に追いつく。しかし、今前にいる選手は全員自分より「上手い」選手だ。1周目が終わるころには再び引き離された。

 2周目もやっと回りきり、いざ、3周目。これが厳しい。「まだ半分以上ある。」そんなことばかり頭に浮かぶ。本当の勝負はこれからだ。同期が差し出すゼリーを口に含み、3回目の長い長いあの坂に突入した。「またか・・・」ため息交じりに顔をあげるとどうだろう、そこにはまるで“害虫駆除用のトラップ”のようにたくさんの選手が取り残されていた。ここは体力勝負。身体を倍動かし、一気にライバルを置き去りにした。こうなったらどこまでもいける。
 4周目に入っても“トラップ”では何人も捕まっていた。登りは「やめてやろうか」と思うほどつらいが、ライバル達を抜き去ることはとてつもない快感だった。下りで追いつかれ、たとえ抜かれてもすぐにまた追いつく自信があった。
 そんなこんなで5,6周目。何を思い滑っていたのかあまり記憶にない。ただただ効きの悪くなったグリップを「踏めてないからだ」ととにかく言い聞かせ、力いっぱい踏んでは逆の脚を前に出す、の繰り返しであった。後は身体が勝手に動いてゴールにたどり着いていた。最後の直線も驚くほど身体が動いた。それにゴールして分かったが、順位も驚くほどよかった。

 と、自分のスキー部人生は30キロクラシカルのレースそのものだったように思う。良い結果を残し、挫折し、停滞期を迎え、一番盛り上がってきたときに引退。

 本当にいろいろな人にお世話になりご迷惑をかけ、様々な勉強をさせていただきました。今後は自分が、スキー部の更なる発展に少しでも力を添えられたらと思っております。

 ありがとうございました。

2年目のインカレ / ノルディック班2年 赤司 凌

 
 昨年のインカレから1年が過ぎ、自分にとって2度目となるインカレが近づいてきました。昨年を振り返ってみると何もわからず、ただがむしゃらに冬の合宿に臨み、インカレを迎えてしまったというのが正直なところです。そのため、初めてのインカレでエントリーした30kmフリーでは途中棄権、10km×4リレーではポイントは獲得したものの納得のいく内容ではありませんでした。

 昨年の反省から、4月からある目標を立てて新年度を迎えました。それは、今年度は陸トレから雪上のことを考えてトレーニングに励むことです。その成果もあってか、12月の合宿では授業の関係であまり長い距離を滑ることが出来ませんでしたが、昨年と比べると明らかに成長した滑りをしている自分がいることに気づきました。
 そしてついにインカレ前の合宿に入り、体が悲鳴をあげ、精神的にもキツいときが何度もありますが、昨年の後悔が自分の体を突き動かしています。今年のインカレは30kmクラシカル、10kmフリー、10km×4リレーに出場します。インカレでの目標は30km滑り切ることと、リレーで入賞することです。昨年はフリーのみを練習していたので、クラシカルは今年からです。リレーではクラシカルで出場する予定なので、日々試行錯誤しながら練習しています。

 インカレは間近に迫っていますが、まだ時間はあります。インカレで自分の力の全てをぶつけられるように1日1日の練習を大事にしていきたいと思います。

打倒、鹿角。 / 一般・アルペン班2年 小山 かやの

 スキー部に入部してからまもなく2年、大学生活も折り返し地点を迎えようとしている。今シーズンが終われば上級生となり部を運営していくと同時に、女子プレーヤー最上級生としてトレーニング面でも後輩たちを引っ張っていかなければならない。そのような中で私が二度目のインカレで目指すべきものは一つしかない。それは、”ポイントを獲得し、部に貢献すること”である。

 昨年のインカレでは、SLでギリギリポイント圏内の30位に滑り込んだ。しかし部に貢献できたのはわずか1ポイントだけ。しかも速報では31位でポイント圏外にいたにも関わらず後から審議の結果失格者が出たため繰り上がっただけであり、自分の実力で勝ち取った結果とは思えず不完全燃焼のままインカレを終えた。
 そんな雪辱を晴らすために、私は今現在行われている2月の菅平合宿に真剣に取り組んでいる。大学は1月がテスト期間であり、特に下級生はそれが終わるまでは長期合宿に入ることができない。本当にスキー技術を伸ばすことができる最も大切な時期はこの2月しかないと私は考えている。スキーのことだけを考えることができるこの期間に、コーチからのアドバイスを自分の頭でよく考え実践し、どれだけの技術を習得することができるのか。鹿角に向け、今の自分への具体的な課題は分かっている。それを残りの期間でいかにしてどれだけ克服できるか、それが鍵となってくるだろう。

 日々練習していく中で何度も何度も壁にぶつかる。それを乗り越えていくためには、まずはスキーというスポーツを楽しむことを忘れてはならない。そしてそれと同時にただただ上手くなりたいという気持ちだけでなく、自分がいつどのような結果を残したいのかという明確なビジョンを持つことによってステップアップすることができるのだと思う。

 2度目のインカレという大きな壁は、もう目の前まで迫っている。この壁を乗り越えられる力を、自分は持っているはずである。あとは自分を信じて胸を張り、自信を持って鹿角に挑みたい。

インカレのお知らせ

インカレの詳細についてご連絡させて頂きます。
今年度は2月23日~3月1日に秋田県鹿角市にて開催されます。
良い結果報告ができるよう、部員一同頑張ってまいります。
インカレ合宿中は湯瀬ホテルに宿泊します。

【湯瀬ホテル】
〒018-5141
秋田県鹿角市八幡平字湯瀬湯端43
Tel 0186-33-2311

東京から遠く離れた場所ではありますが、是非ご声援の程よろしくお願い致します。

総合スケジュールはこちらです

初めての冬を迎えて / ノルディック班1年 五十嵐 有冴

 スキー部に入って半年以上が過ぎた12月。私達スキー部にとって待ちに待ったシーズンとなりました。冬を目標にひたすら頑張った陸トレの日々。その中で感じた様々なことを思い出しながら向かった北海道への道のりは不安でいっぱいでした。
 私以外全員4年生という環境で始まった合宿生活。私は合宿前に絶対にこれだけは忘れないという目標を立てていました。それは、吸収できることは全て吸収するということ。来年度のノルディック班は経験者3人と1年生。女子は私がトップになります。その事を考えると、先輩方がたくさんいる、こんなにも贅沢な環境でしなければならないことは必然的にみえてきました。

 そうは言っても初めてのクロスカントリー。そう甘くはありませんでした。合宿初日に浮かんだこと、それはだめかもしれないという言葉でした。壁と呼ばれる登り坂は起き上がっては転びの繰り返しで一向に進まず、下りはカッターから外れて思いっきり身体を打ちつけ、クラシカルのグリップワックスにも慣れず、全く板が滑らなくなり途中から歩いてコースを回ったこともありました。クロスカントリーがいかに大変な競技かということを身に沁みて感じる毎日であったと思います。

 そんな練習の中で感じたことは、長い距離を滑る上で痛感した体力の無さを始め、筋トレやチューブなど、今まで行ってきた陸トレの重要さでした。私達は限られた期間しか滑ることが出来ません。その中で食い込んでいくにはどうすれば良いのか、それを常に考えていくことが大切だと思いました。
 不安だらけで迎えた初めての大会、学チャンはクラシカルがスプリントと5km、そしてフリーが10km。今冷静に振り返ってみると、場の雰囲気に呑まれ、ただ完走できたという喜びだけで終わってしまったような気がします。

 次の目標とするところはインカレ。そこでどんな滑りをするのか、そしてどんな結果になるのかは自分次第です。何をすれば良いのか、12月の合宿で成長できたこと、感じたこと、足りないところを改めて振り返って、よく考え行動したいと思います。そして残された期間を意識し、一日一日を大切に過ごしたいと思います。

初めての合宿 / 一般アルペン班1年 二木聡也

 長い夏のトレーニングを終え、いよいよ冬本番がやってきました。そして、12月23日から28日までの北海道、朝里川温泉スキー場での合宿と1月3日から11日までの長野県、菅平高原での合宿を無事に終えることができました。

 春にスキー部に入って以来スキーをほとんど履いていなかった自分としては、最初スキーを履いて斜面を滑ることができるというだけでとても楽しいものでした。しかし、いざコーチがつくとなると話が変わります。自分の滑りにさんざんダメ出しをされる。コーチの言うことを理解はできるが、いざ雪上でやろうとするとさっぱりうまくいかない。嫌になることが多々ありました。そのうえ、北海道では気温が-10℃以下という寒さである上に吹雪いているという過酷な環境は「帰りたい」という気持ちをより一層強くしました。このように、初めてのスキー部での冬合宿は楽しいというよりもつらいものでした。

 しかし、菅平高原での合宿は違いました。コーチにさんざんダメ出しされるという点は特に変わりません。ですが、少しだけではありますが上達したという実感を得られたのです。また、10日、11日にあった大会で同期や先輩の滑りを目の当たりにしたことで「上手くなりたい」と強く思うことができました。スキーというスポーツの面白さを感じられたように思います。

 スキー部での冬合宿は中々に大変なものとなりました。その一方で楽しいだけのスキー旅行にはなかった、なかなか進歩しないもどかしさ、そして上達した時の喜び等々をひっくるめた様々な「楽しさ」を感じ取ることができました。怪我なく東京に戻ってこれたことを喜ぶのも程々に、またスキーがしたくなります。次の合宿に備えて精一杯の準備をしていこうと思います。