目的と手段 / 一般・アルペン班4年 武田 杏樹

手段が目的になる。

この言葉は、近年のスキー部の状況に当てはまっているのではないかと感じる。

私たち学習院大学輔仁会スキー部は、2月のインカレを目標(=目的)に年間を通してトレーニングを行っている。そのための手段としてタイムレースやMax測定が設定されており、本来それらはインカレに向けて実力を高めるための過程であるはずだ。

しかし、陸上トレーニングが進む中で、「タイムレースに向けて」といった言葉が強調される場面が増え、目的がいつの間にか「タイムレースで結果を出すこと」へとすり替わってしまっているように感じる場面がある。私は幹部ではないため、部の運営詳細や年間の方針を把握しているわけではないが、それでも各部員が常に「自分自身がシーズンに掲げた目標」を意識することが重要であると考える。

この状況は現役部員だけに原因があるのではなく、卒業生の一部には「インカレよりもタイムレースが大事」と話す方がいると聞いたことがある。仮にこれが事実であるとするなら、特に下級生にとってその言葉が大きな影響を与えることは十分考えられる。その結果として部員の目標がタイムレースに向かってしまうのは、ある意味自然なことなのかもしれない。

では、どのようにすれば手段と目的の混同を防ぐことができるのだろうか。その答えは、目的を達成するためにその手段を用いる理由を部員全体で正しく共有することにあると考える。

私は1年生の頃、「なぜスキー部であるにもかかわらず走るトレーニングが中心なのか」と当時の4年生に尋ねたことがある。その答えは、「伝統とチームワーク作り」であった。もちろんどちらも重要な要素であるが、時間の経過とともに、部員の体力、集中力、興味、そして部を取り巻く環境は変化する。そうした変化の中で、過去と同じ手段を用い続けるのであれば、それが現在においてどのような意味を持ち、どのような効果を期待できるのかを、改めて言語化して共有する必要があると考える。その説明があることで、部員はトレーニングへの納得感や意義が見出しやすくなるはずである。

私は現在のスキー部を否定したいわけではなく、監督・コーチ・理事・卒業生・幹部・部員の誰かを批判する意図もない。そのうえで、インカレに向けてより良い方向へ進むためには、日頃から「スキー」を中心に置いた過ごし方や準備が求められるのではないかと考える。他大学では、資格を持つコーチが部員の身体の状態を理解し、身体のケアを含めたトレーニングを行っている例もある。このような「体力作りにとどまらないアプローチ」を取り入れることも、今後の一つの可能性であるだろう。

これまでの活動報告と比較して挑戦的な内容になったかもしれないが、私が願っていることは一つである。今年度のインカレにおいて、男女それぞれ、そして各部員が掲げた目標に向かってシーズンインし、各自が最善のレースをすることを心から望んでいる。