“You’ll never walk alone”~もう、一人じゃない~

一般・アルペン班3年 高山 元成
 「スキー=孤独」。これは、今まで私の中で成り立っていたスキーに対する方程式である。高校時代からスキー部に所属していた私だが、基本的には個人練習、個人行動が常であった。もちろん、周りにスキーを一生懸命やっている友達などいない。だから、私がスキーをする時は、常に一人だった。ただ、個人競技に憧れてスキーを始めた私にとって、別にそれは特におかしいことでも何でもなく、普通のことだと思っていた。

 大学に入って、特に他に何もやることもなかった私は、とりあえずスキー部に入った。大学のスキー部は、高校時代と違い、みんなで長い合宿生活を送るし、陸上トレーニングもみんなでやる。そういった団体生活をするようになった。当時1年生の私は、それを煩わしいものと感じることもあったし、反面、楽しいと思うこともあった。でも、最初は4人いたはずの同期の男子が1人、また1人と辞めていき、1年目のシーズン前には結局私1人になっていた。何よりも、結局実際の試合になれば、頼れるのは自分1人だけ。なんだかんだ言っても、「スキー=孤独」は変わらなかった。

 それが、2年目の冬、変わった。「スキー≠孤独」に変わった。きっかけは、ノルディック班部員不足によるインカレリレー出場である。2部に昇格して1年目のインカレでリレーにしか残留の活路を見出せない。そんな状況下で、今までアルペンしかやったことのない、ノルディックに関してはド素人の私が出場することになった。だから、昨年1年間を半ノルディック班として必死に活動した。12月には、ノルディック班の全合宿所に行った。そして、ノルディック班の部員もそんな私を温かく迎えてくれ、自らの練習を差し置いて、私の練習についてくれた。この人達に報いたい。その一心で私はさらに頑張った。
 そして、1月17日インカレリレー本番。アンカーとして先輩達が戻ってくるのを待つ私の心は妙に落ち着いていた。3走までの一緒に練習してきた先輩達を信頼していたからだ。何とかリードを作って帰ってきてくれると信じていたからである。だから、繰り上げスタートになっても特に焦ることもなかったし、途中で転んだ時も落ち着いていた。だから、あのリレーでは、最高の走りができたし、結果、学習院大学を2部に残留させることができた。ゴールした時に、応援してくれた部員、OBの方々、他大学の友人、そして共に走ったリレーメンバーに「ありがとうございます」を連呼していたのは今でもよく覚えている。今まで「試合では頼れるのは自分だけ」と思っていた私が、みんなを信頼できるようになった。「スキー≠孤独」とこの時、感じることができた。

 そして、今、私は3年になった。いわゆる「上級生」と言われるものになった。もう甘えることはできない。早くも壁にぶち当たっている。昨年の4年が5人も減って、戦力ダウンが避けられない女子、上級生プレーヤーが3人しかいなく、下級生に指導が徹底できない男子、部員数3名まで減少したノルディック班、相も変わらず温暖化による雪不足に悩まされるアルペン班、物価高によるスキー用品価格の上昇、それに伴う金銭面での苦労、新入生がスキー部に求めるニーズの変容、他大学が次々とスポーツ推薦を導入していること、就職難に悩まされる新4年生、個人的には卒業単位の問題…言っていけばキリがないくらいに問題が山積している。さらに言えば、私には、トレーニングチーフという役職上、スキー部の運営に携わらなくてはならない。練習の質を上げるのか、量を増やすのか、チームの底上げをするべきなのか、上を伸ばしていくべきなのか。上手く道筋を作れないままの手探り状態の部活運営。
 でも、大丈夫だと思う。それは、私が周りの人を信頼できるようになったからである。フォローしてくれる4年生がいる。仕事を手伝ってくれる下級生がいる。共に頑張れる同期がいる。私たちを気にかけてくれるOB・OGがいる。支えてくれる監督・コーチがいる。大きな問題はたくさんあるが、OBやOG、監督・コーチ、そして部員。全てのスキー部に関わる人が一丸となって、諸問題に取り組む。私はそういう部活を作っていきたいし、そういう部活は強くなれるのだと思う。そして、それはきっと実現することができるはずである。もう、私は一人じゃないのだから。

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